加齢黄斑変性症
加齢黄斑変性症の鍼灸施術について
当院は加齢黄斑変性症に対する鍼灸施術を行っています。鍼灸で黄斑部の回復や疾患の進行を遅らせ、特に視力(矯正視力)の向上と維持・症状の軽減の可能です。抗VEGF抗体(抗血管新生薬)との併用でも、良好な結果が得られることがあります。加齢黄斑変性は新生血管からの出血や水のもれが原因で網膜がいたみ、視力低下がすすむ病気です。中国医科大学の鍼灸専門研究所では様々な実験が行われています。鍼は毛様体血管に対して大きな調整作用があることがわかり、おそらくそれによって網膜など神経の微小な循環障害を解消させ、諸症状を改善されて、新生血管の成長を少しでも抑えることができればさらなる視力低下を防ぐことができます。眼科の鍼治療できる数少ない鍼灸院です。鍼灸のことならお気軽にご相談ください。
症例:70代、女性。物が歪んで見えるようになったため眼科を受診したところ、右目の加齢黄斑変性症と診断され、2ヶ月に1回のペースでルセンティス注射を受けることになった。医師から高齢者は4~5割の確率で両目に発症すると言われて不安になり、左目の発症予防のため当院での鍼治療を開始した。背部の経絡と手足のツボ、両目周囲のツボを用いた鍼治療と両目周囲のマッサージを実施。1週間に1度の鍼灸治療を1年間続けたところ、病院の定期検査で右目の検査結果が良好となったため、ルセンティス注射を中止することとなった。その後も現状維持のため1週間に1回のペースで通院を続けて、高確率で発症すると言われた左目にも発症することなく5年間が経過している。これもすべて鍼施術した結果と思い、心強く感じている。
加齢黄斑変性症とは何か
まっすぐな物がゆがんで見えたり、その中心部が黒ずんで見え、進行すると視力が著しく低下し、失明することもある50歳過ぎに多い病気で、欧米で中途失明の一位であり、日本でも糖尿病網膜証に次いで増えているという加齢黄斑変性症が増加しているという報告があります。加齢黄斑変性症の進行は遅いために自覚しにくく、見えない範囲が大きくなって、あるいは急に見えなくなって気が付くことが多いようです。目から入った光は、角膜、水晶体、硝子体を通って、網膜へ到達します。その中央部分が黄斑です。この黄斑に集中している視細胞は、その下にある網膜色素上皮細胞によって養われています。網膜色素上皮細胞は、さらに脈絡膜(血管に富んでいる組織)から栄養を得ています。脈絡膜の血管が何らかの原因で詰まり、網膜色素上皮細胞への栄養が途絶えますと、網膜色素上皮細胞と視細胞は障害を受け、変性します。これが黄斑変性です。そのうち日本人に多いのが滲出型黄斑変性症(加齢黄斑変性症)です。滲出型というわけは、脈絡膜の血管が詰まった結果、新生血管が生まれ、網膜色素上皮を壊し、網膜に出てきます。あるいは網膜色素上皮の下に伸びていきます。新生血管の壁はもろく、血液成分がどんどん洩れて、それが視細胞を壊します。
生活習慣で予防
加齢黄斑変性と診断された場合は、このようなことに気をつけるのはもちろんですが、目は大切な器官ですから、たった今から目にとって良くない習慣は改めることが大切です。
タバコを止める
喫煙している人は、加齢黄斑変性になる危険性が 高いことが分かっています。喫煙は加齢黄斑変性だけでなく、呼吸器や循環器をはじめとして体に様々な悪影響を及ぼすため、禁煙が勧められます。。
強い光を避ける
網膜の黄斑部には、目が開いている時には常に光が当たっています。光が当たると活性酸素が発生し、活性酸素は細胞を傷つけ老化を早めます。帽子やサングラスなどで、目を保護すると良いでしょう。
バランスのよい食事
野菜に多く含まれる抗酸化ビタミン摂取量が少ないと、 加齢黄斑変性が起こりやすいといわれています。 脂肪分の多い食事はなるべく避け、 野菜を多く取り入れるように心がけましょう。
現在の西洋医学の主な治療法
萎縮型加齢黄斑変性は、有効な治療法がなく、進行を遅らせると考えられているビタミン剤の投与しか手立てがありません。以下は滲出型加齢黄斑変性の主な治療法です。
レーザー光凝固術
脈絡膜新生血管が黄斑の中心から離れている場合には、新生血管をレーザー光で焼き固めることがあります。
光線力学的療法
レーザー光凝固術とは異なり、中心窩に新生血管があっても受けることができる方法です。
薬物療法
脈絡膜新生血管の発生には血管内皮増殖因子を阻害する薬物の投与により、脈絡膜新生血管を退縮させる治療法です。
手術療法
脈絡膜新生血管を抜去したり、黄斑を移動させる手術が以前は行われていましたが、新しい治療法が開発されたため、ほとんど行われなくなっています。