顔面神経麻痺と鍼灸治療

鍼灸治療と治療時期について

顔面神経麻痺の治療法
顔面神経麻痺に対して鍼灸院によって様々な鍼治療法がありますので、まず治療経験豊富な鍼灸師を慎重に選んだほうがいいでしょう。大勢の麻痺の方を鍼治療してきた鍼灸師はよりよい効果をあげやすいといえるでしょう。症状や発病の時期によって治療法が変わることがあります。特に発症の初中期は低周波を使っての電気鍼など強い刺激は避けるべきです。病的な共同運動など後遺症が出現しやすくなることがあります。鍼灸は主に自然治癒力を活かして、麻痺された神経を早期回復することに主眼がおかれます。
顔面神経麻痺は自然に治ることもあります。しかし、麻痺の程度や治療法、治療開始時期などによって、予後に大きく影響することがあります。顔面神経麻痺は早期治療が大切な病気ですので、一般的に発症して一週間前後から鍼灸治療するのがベストだと言われています。発症初期は病院と並行しての鍼灸治療をお勧めします。鍼灸はすぐれた治療法ですが、効果は100%であるとはいいきれません。症状や場合によっては、専門病院の医師の治療と併用して頂くことにより、相乗効果も認められます。鍼灸を使うことで治癒率を高め、短期間に回復して後遺症を防ぐことが可能です。鍼灸治療を選択肢の一つとして提示される専門病院の医師もいらっしゃいます。

顔面神経麻痺の鍼灸治療について

当院には全国各地から大勢の顔面神経麻痺の患者が通院しています。20年以上の顔面神経麻痺の鍼灸治療実績があります。多くの顔面神経麻痺で悩んでいいる方々から喜びの声をいただいております。当院の最も得意な分野に挙げられます。鍼灸は主に自然治癒力を活かして、麻痺した神経を早期回復することに主眼がおかれます。当院は一人一人の方に時間をかけてご説明し、十分ご理解いただいた上で施術にあたっております。院長の翁孟進が長年の臨床経験と研究で生みだした独自の治療法を行います。常に海外から新しい鍼灸治療法を積極的に取り入れることによって治癒率をより高めています。鍼灸治療は特に末梢性顔面神経麻痺に対しては効果的であるといえます。麻痺を発症したばかりの方や病院では回復がはかばかしくない方も鍼灸でよい効果をあげています。早期に鍼灸治療をすることによって、神経をよりはやく取り戻し顔面神経麻痺の後遺症を残さないか、もしくは軽度にとどめられる可能性が高いです。鍼灸治療のことならお気軽にご相談ください。

顔面神経麻痺になったらどうすればいいか?

麻痺にかかったら病院では何科に行けばよいか、またどんな治療法をすればよいのか迷っている方々が多いと思います。一般的にまず耳鼻科へ行きます。 必要なら脳神経内科などが紹介されます。脳血管障害(脳梗塞、脳内出血)による中枢性の顔面神経麻痺が疑われる場合は、CTやMRIの検査を行います。また帯状疱疹のウイルスによるハンド症候群の場合は血液を検査することもあります。病院で行う主な治療法は最初副腎皮質ステロイドや抗ウイルス剤の点滴、また経口副腎皮質ホルモン剤を服用し、10日後に血流改善剤、ビタミン剤や神経賦活剤などが薬が処方されます。病院によっては顔面神経減荷術の手術や星状神経節ブロックなどを行うところもあります。手術の後遺症を伴うなどのリスクが高いですし、因果関係はまだはっきりしていないということで、現状ではよい治療法とは言いきれません。

顔面神経麻痺とはどんな病気か

顔面神経について ある日突然顔の半分、あるいは一部分が思うように動かせなくなる状態のことをいいます。顔が曲がっていたり、まぶたが閉じられないので眼が乾燥して痛かったり、口が閉じられないため食べたものがこぼれてうまく食事ができなかったりします。その他には味がおかしい、ツバがでにくい、などの訴えも出てきます大勢の顔面神経麻痺の方は発症の1~2日前、耳の回りに痛みがあることが多くみられます。顔面神経麻痺の症状が軽い例でも、顔を動かすと左右不対称(いびつ)が目立つので、社会的に消極的になりがちで、精神的にもダメージの大きい病気です。

顔面神経ってどんな神経

顔面神経麻痺 顔面神経の支配範囲
顔面神経は左右の脳幹から内耳道、中耳腔を通って顔面に出る脳神経の一つである。顔面筋肉の運動や舌の味覚の一部、さらには涙腺、舌下腺などに分布する副交感神経などをつかさどる神経で、顔面神経麻痺とはこの神経が様々な原因で障害され、顔面機能が消失する病気です。末梢に走行する主な顔面神経線維は右の図のようです。顔面神経麻痺は臨床的には中枢牲麻痺と末梢性顔面神経麻痺に分けられます。中枢性顔面麻痺は顔面神経核上病変(上位神経)による麻痺です。原因は脳溢血、脳腫瘍、その他脳内の病変により、発する症状です。

顔面神経麻痺の原因と症状

主な原因

多くの末梢性麻痺の原因はまだ不明です。考えられる可能性として局所浮腫(きょくしょふしゅ)、ウイルス感染、寒冷、末梢血管障害などがあります。いずれにしても、顔面神経麻痺は何らかの原因で顔面神経がはれると顔面神経が圧迫され麻痺が現れると考えられています。臨床で一番多く見られるのがベル麻痺です。また、顔面神経管の中の神経に帯状疱疹ウイルスを感染し、顔面神経麻痺となる場合があります。それをラムゼイ・ハント症候群と呼ばれています。この場合には耳介や外耳道に水泡を伴い、痛みがあることが一般的です。慢性中耳炎、主に真珠腫性中耳炎で顔面神経麻痺が起こることがあります。また、外傷、特に側頭骨の骨折の場合に顔面神経麻痺を伴うこともあります。側頭骨以外の部分で起こる顔面神経麻痺には脳血管障害(いわゆる脳卒中)、脳腫瘍や耳下腺腫瘍があります。

    主な症状
  • 麻痺側の前額郡の「シワ」がなくなり、又「シワ」を作ることが出来ない。
  • 閉眼が不十分、閉眼を命じると眼球が上方に回転するベル現象を呈す。
  • 口笛が上手く吹けない。うがいができない。
  • 神経麻痺側の鼻唇溝は平坦となり、口角は垂れ下がる。
  • 神経麻痺側の舌の前2/3の味覚障害がでることがある。
  • 涙液分泌障害、唾液分泌障害など。
  • 耳が痛い、高い音や自分の声が響くなど症状。
  • 平衡感覚の異常を呈することもある。(ラムゼイ・ハント症候群の場合)

麻痺の主な分類

ベル麻痺
ベル麻痺の主な原因は単純性ヘルペスウイルスにより発症したと言われています。何らかの原因により神経細胞内でヘルペスウイルスが増殖し、その結果、神経線維の炎症が起こり側頭骨内で顔面神経が腫れることにより、突然に顔面の麻痺が生じます。原因としては、疲労や冷たい風、ストレス、妊娠などが知られていいますが、ベル麻痺では原因がはっきりしないことも多く、特発性麻痺とも呼ばれます。ベル麻痺は末梢性の顔面神経麻痺の中の最も多いケースですが、原因不明の麻痺は通称「ベル麻痺」です。ベル麻痺は、顔面麻痺全体の70%ほどを占めます。ベル麻痺全体の8割の程度は1年以内にほとんど後遺症を残さずに治りますが、残りの1割に異常共同運動を伴う後遺症が残ります。

ラムゼイ・ハント症候群
耳を中心におこったこの水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)のことです。このウイルスは、水ぼうそうが治った後もからだのいろいろな神経節の中に潜んでいます。まだ原因ははっきりとわかっていませんが、疲労、精神的ストレス、日光照射、発熱などの刺激や、糖尿病の悪化、などをきっかけに再活性化にともない顔面神経が傷害されて発症すると言われています。ハント症候群はベル麻痺とともに末梢性顔面神経麻痺の2大原因の一つで、顔面麻痺全体の10%ほどを占めます。主な症状は、耳の周辺の発赤と水ぶくれ、のどの痛み、耳鳴りなどで、ベル麻痺と区別がつきやすいものですが、ベル麻痺かハント症候群か区別のつかないこともあります。ハント症候群はベル麻痺とともに末梢性顔面神経麻痺の2大原因の一つで、顔面麻痺全体の10%ほどを占めます。ちなみに、ベル麻痺は全体の約70%程度です。

病院での顔面神経麻痺の主な治療法

顔面麻痺の薬物療法
Ⅰ)副腎皮質ホルモン
急性期治療として経口副腎皮質ホルモンおよび抗ウイルス薬の使用が推奨されてます。麻痺の発症早期に経口副腎皮質ホルモンおよび抗ウイルス薬が使用されることが多いです。発症1週間以内の副腎皮質ホルモン投与が寛解率を17%増加させ、さらに副腎皮質ホルモン投与が後遺症としての病的共同運動(synkinesis)の発症を抑制することが報告されています。完全ベル麻痺に対しては副腎皮質ホルモン大量点滴療法が経口副腎皮質ホルモン療法より有意に改善率が高いことを示す報告があります。

Ⅱ)抗ウイルス薬
抗ウイルス薬の使用については賛否両論ありますが、Bell麻痺患者の唾液から単純ヘルペスⅠ型(HSV-1)が検出されることが報告されてから、抗ウイルス薬使用を支持する根拠となっています。抗ウイルス薬使用が薦められていいます。Bell麻痺の原因として1型単純ヘルペスウイルスがクローズアップされていることも併せて,最近は顔面神経麻痺の急性期治療として副腎皮質ホルモンとの併用で抗ウイルス薬を使用することが推奨されています。

星状神経節ブロック
星状神経節ブロックは根本的に副交感神経の活動を抑制して頭頸部の血流などを改善して麻痺した神経の賦活化をはかるものです。顔面神経麻痺の治療として,国際的に信頼できる評価はほとんどされていません。日本では麻酔医を中心にその有効性が強調され、しばしば実施されています。効果は患者により効く例もあり、そうでない場合もあります。

外科的な治療法
Ⅰ)顔面神経減荷術
急性期特発性顔面神経麻痺はウイルスの感染、真珠腫性中耳炎により神経が圧迫されて、まず薬物療法が行われますが、薬物療法の効果が見られない時などに手術治療を検討します。主に神経周囲の骨を削ることで圧迫から開放して血流の改善を図り、神経の変性をくいとめて顔面神経麻痺を治療します。炎症性腫脹を呈する顔面神経を骨性顔面神経管のレベルで除圧、開放する手術が行われます。これまでの報告はランダム化されていません。副腎皮質ホルモンが併用されているため、エビデンスの高い報告はないようです。また、難聴などの合併症の報告もあります。現時点で日本顔面神経学会より推奨されていません。

Ⅱ)麻痺後遺症に対する外科手術
半年以上経過しても顔面神経機能の回復が見込まれないとき、その機能を回復させるため、幾つかの手技が実施されています。舌下神経から顔面神経吻合術があります。また、健側顔面神経から顔面皮下を通じて患部側へ,末梢神経移植による吻合を行います。一部に筋移植を行う手技も実施されています。

Ⅲ)病的共同運動のボトックス注射
病的共同運動や顔面拘縮など後遺症に対して新しい治療の選択肢として最近登場したのは ボトックス注射による治療法です。発症から一年以上経ってから行います。ボトックス(ボツリヌス毒素)を顔面の筋肉に注射することで、表情筋を一旦麻痺させて、その後リハビリを導入することがあります。ボトックスの効果は3~4ヶ月間持続します。病的共同運動や顔面拘縮は再発するため、多くの場合は再注射が必要になります。

顔面神経の完全麻痺期及び回復期における注意点

Ⅰ低周波(電気鍼)を避ける
低周波(電気)は麻痺側の筋肉を収縮させることによって、回復期では顔面神経核の興奮性が亢進しているために共同運動が出現しやすくなり、顔面拘縮の誘因になることもあります。長い間の鍼灸臨床経験と低周波刺激は禁忌という専門家の意見に基づいて、当院は回復期の顔面麻痺に低周波を使っていません。

Ⅱ顔面神経麻痺のマッサージについて
マッサージは麻痺した顔面筋肉の走行に沿って気持ちのよい強さでけっこうです。または蒸しタオルを使うと、顔面のこわばりに対して効果があります。マッサージ前に使って顔面筋のストレッチングを促します。

Ⅲ粗大筋力訓練は避ける
顔面神経麻痺になって麻痺側の筋力(表情筋)が低下したからと言って、荒っぽく強すぎる筋力訓練をすると中枢レベルの共同運動(後遺症)を誘導しやすなくなります。時間の経過とともに麻痺した筋肉の緊張は亢進し、顔面痙攣や顔面拘縮の誘因になります。

Ⅳ長時間に冷たい風を避ける
冷たい風やアイスを長時間顔面や耳の後ろ(顔面神経の出口)のあたりに当てると顔面神経麻痺になるかたもいます。顔面麻痺の側に冷たい風やアイスは避けたほうがいいです。特に回復期は要注意です。

Ⅴ顔面神経麻痺を治そうという気持ち
顔面神経麻痺になった原因はまだはっきりしないことが多いですが、超多忙の生活やストレスなどによって睡眠時間が極端に少なくなったり、また免疫力や体力が低下したことで麻痺になることも結構あります。できれば規則正しい習慣を身に付けて、自己健康管理をしっかりしましょう。免疫力や体力を高めて、治そうという気持ちを強くもち、常に前向き姿勢で臨むことによって、自然治癒力が高まり、麻痺の回復につながります。

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